12月4日の日記

2005年12月4日 読書
●仕事くれ!(THE JOB)/ダグラス・ケネディ

ん〜ん〜んー…面白い!
活字好きにはたまらない694ページ。
今まで気にしていなかったけれど、翻訳された職場系小説は心情や環境、人に対する分析が細かく書かれていて日本の小説と比べるとストンッと読みやすい。
この違いが分かったのも村上さんの本のおかげだ。今思えば、村上さんの小説のすばらしい表現力というのはこういった翻訳小説に詩人的な香り付けをしてあるものだという気がする。
活字がみっしりとつまっているので一見読みづらいのだけれど、徹底的に活字によってビジュアル化されているとでもいうのか、すべてそこにあるといった感じだ。
どぉー言えばいいんだろ?
欧米人の激しいコミュニケーション力が振るえない小説世界で、やつらは活字というアイテムをフルに使って読者に理解を求めてきているかのようだ。
ひとまず僕が今まで読んで来たものに関しては。あるいは翻訳する事によってこのはっきりとした表現は生まれるのだろうか。英文をスラスラ読んでいる人に教えてもらいたい。
国語嫌いな人がまったく理解できないという問題、「線を引いた部分での主人公の心情はどうだったのでしょう?」などというようなものが出てくる日本の小説とはあきらかに違う。
そうだな、大ざっぱな彼奴らが、この世界ではちまちまと小さい部分まで書き連ねているところが面白いといえるな。

内容としては、ニューヨーク(憧れの都会)で、ようやくある程度の地位を築けバリバリ仕事をしている主人公なのだけれど、こいつがなんともムカつく奴なのだ。
ファーストフード店の仕事や清掃員の仕事なんかを自分のプライド上そこまで落ちる事は出来ない仕事と捉えているようなやからだ。
こんな奴はさっさと破滅したらいいのだ!と思って読んでいくと面白い。痛快。
失業してしまい、自分でこれからの月の収支の表を作ったりするのだけれど「外食・娯楽費(自分の)=800ドル」って、お前そのあたりからかなり間違ってるから。
妻と2人暮らしだから出費はいくらでも押さえられるでしょ?
で、中盤でようやく
金の重要性など考えようともしなかった。〜…頭の中にあるのは次なる契約と、次に購入するブランドもののスーツ、鳴り物入りで宣伝されたレストランで摂る、次の食事のことだけで。
これぞ明確な阿呆の定義だ。
どこかに到達しようと忙殺されるあまり、その闘いになんらかの意味を与えてくれるもの自体を見失ってしまうとは。

って気付いたりしてるんだけれど、たいして変化したとも思えず、金を大切にするようにはなったかな?って程度。
後半からは昔の友人に仕事を紹介され、でもその仕事はちょっといわく付きで、でも逃げられない状況に追い込まれ、さあどうする?と、サスペンス色がいっきに強くなる。
そういう面白さへと変わっていくのでダダダッと読む。
だんだんムカつく主人公が可愛そうになりつつ、もっと悲惨でもいいのにとも思う。

ひとりよがりの感想でごめんね。でも、読書は本人が「面白かったか?」が最重要なのである。

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