11月30日の日記

2005年11月30日 読書
●羊をめぐる冒険(上)/村上春樹

どうやら3部作の最後の作品なんだとか。
これが初めてまともに読む村上さんの小説なのでこれについてしかわからない。
主人公は「僕」。
妻と離婚し、新しくできたガールフレンドは耳専門のモデルをしている。
彼女に「あなたが自分自身の半分でしかいきていないからよ」と表現される「僕」は小さな広告会社を友人と2人で経営している29歳。
数年前に行方知れずになっていた古い友人「鼠」から送られてきた「羊」の写真。
机の引き出しに放り込んであったソレを雑誌の広告に使ったことから不思議な話が始まる…

まあ内容は読めばわかる。

はぁ〜とにかく心地よく面白かった。
まだ上巻だけしか読んでいないのでこれからどうなるか気にかかる。
…気にかかっているか?
はたしてどうだろう。
そう、僕はこの小説の結末をそうたいして気にはしていない。
僕の少ない語彙では表現しにくいが、村上さんの「言葉遊び」とも言うべき雨のように降ってくるキラキラした表現にやられてしまうから面白いのだ。
奇麗な小説だ。
川端康成の「雪国」を読んだ時も奇麗だと思った。
でも、「雪国」はあまりにも奇麗すぎて細すぎて嫌いだった。
この小説は綺麗で恥ずかしい。恥ずかしいから心地いい。

僕は「禁忌と理解していても頭の角に浮かんでくるある種の考え」に大変興味が有る。
どうしようもなく悲しい現実を前にした時にふと横切る計算であったり、
糞まじめな空間で噛み殺さなければならない笑いであったり、
滑稽なほど気障すぎてとても口には出せない言葉であったり、
考えてはいけない、言ってはいけない、恥ずかしい、だけどしかし…
そういったもどかしさを少しは溶きほぐしてくれるのが村上さんの本のような気がする。

僕に作家の才能があったなら、上にあげたような考えや頭の中、例えば今まで学んできた事、知った事、昨日の出来事、忘れていた脳の奥の棺の中の記憶全部を引っ張りだしてこねくりまわし書き連ねていくとこんな感じになるのかもしれない。
「パカッ」っと広げてしまった世界。

小説家は恥ずかしいだろうな。

ほんと感想書くのへただな。最近まじめな小説読んでないせいもあるかも。読んでいる本がその人のその時を彩ると思うんだ。とりあえず言い訳。

…羊食いたくなってきた。

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