5月5日の日記

2005年5月5日 読書
やばい。
古本屋で漫画を買うついでに、たまたま目に付いて買っておいた本がかなりおもしろい。
名前は「骨董屋ピンクス」。
骨董屋のおやじピンクスさんが、長年の骨董屋での実話を48の短編として書き綴ったものなのだが、さくさく読め、ひとつひとつがしみ込んでくるような話ばかり。
ユダヤ人、ナチスの非道、そのあたりが軸とはなっているが、複雑な歴史を知らなくても面白く読める。

中に出てくる話をひとつ書き出す。
「街の清掃人」の話。
商品ケースの中の水差しをじっと見ている男がいる。ピンクスはふと、その男に水差しがどういうものか理解しているのか聞いてみる。もちろん男は見るからにただの街の掃除屋さんだ。ところが男はあっさりと水差しの価値を言いあてる。
ピンクスは驚く。しばらくして、水差しがほしいその男に良心的な値段で売ってやる。ただし、なぜ水差しの価値がわかったのか問う。でも男はその問いはまたいつか、と話を濁す。
何度目かの分割払いの支払いの日、ピンクスはコーヒーを進めるついでにもう一度聞く。
すると男は、自分は昔は大学で考古学を教えていた、ナチスの収容所に入れられ大変ひどい目にあっていた。その時、「自分はこの地獄から帰ることができれば、神様、自分は聖地の掃除をする人間になります。」と誓ったのだと語る。

良い本との出会いってのはほんとあっさりとしていて、突然だ。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索